マルタ共和国は地中海に浮かぶ美しい島国。観光から語学留学まで、さまざまな目的からマルタに訪れる日本人が後を絶ちません。
美しいビーチに温暖な気候、ヨーロッパでトップクラスに良い治安、都市全体が世界遺産に登録されている城塞都市・バレッタなど見どころ満載。
当記事では、そんなマルタ共和国について物価や治安から、マルタ人の人柄まで幅広く紹介していきます。
当サイトでは、マルタ共和国について「筆者のマルタ居住経験」と「データ」を活かし、生(なま)の情報を紹介しています。
マルタ共和国の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
国名 | マルタ共和国 |
首都 | バレッタ |
位置 | 南ヨーロッパ(イタリア・シチリア島と、北アフリカ・リビアの間にある島国) |
人種 | マルタ人 |
人口 | 約52万人 |
言語 | マルタ語、英語 |
宗教 | キリスト教(カトリック) |
面積 | 316㎢ ※「静岡県島田市」とほぼ同じサイズ。おおよそ「東京23区」や「淡路島」の半分の大きさ。世界186位のミニ国家。 |
通貨 | ユーロ |
時差 | 4月~10月(サマータイム):‐7時間 11月~3月:‐8時間 |
国際電話番号 | +356 |
GDP | 17,251(百万USドル) ※世界127位(日本は3位) |
1人当たりGDP | 33,667(USドル) ※世界31位(日本は27位) |
マルタ共和国の基本情報は上記の通りです。
以下に、マルタ共和国に実際に住んで体感した「物価」や「治安」「人々の特徴」などについてまとめていますので、一緒に見ていきましょう。
マルタ共和国の言語

マルタ共和国には「英語」と「マルタ語」の公用語が2つあります。
多少、訛りがあったり癖の強い英語を話す人もいますが、ほとんどのマルタ人は流ちょうな英語を話します。
マルタ語に関しては、正直なところ筆者は全く話すことができませんが、マルタ生活で困ることはありません。
マルタ語は全世界で60万人ほどの話者しかいないマイナー言語。
マルタ語の語彙の約60%はアラビア語であり、残りの約40%はロマンス諸語由来の語彙が使われているとのことです。
ちなみに、当サイト名である【MelaJP】のMelaはマルタ語であり、現地では非常によく聞く言葉です。
※Melaは非常に多くの意味を持つ言葉であり、「相づち」として使われたり「接続詞」として活用されたり、日本語で説明するには非常に難しい単語です。
マルタ共和国の季節と気温
マルタ共和国は日本と同じく、春夏秋冬の四季がある国の1つです。
地中海性気候であるため、冬場は湿度が高くなり、雨季に入ります。
一般的には4月~10月が乾季で、11月~3月が雨季とされています。
【マルタ共和国の平均気温】
月 | 平均気温℃(高/低) | 降雨日数 |
---|---|---|
1月 | 16/9 | 8日 |
2月 | 16/9 | 7日 |
3月 | 17/10 | 5日 |
4月 | 20/12 | 3日 |
5月 | 24/15 | 1日 |
6月 | 28/19 | 0日 |
7月 | 31/22 | 0日 |
8月 | 31/22 | 0日 |
9月 | 28/20 | 3日 |
10月 | 25/18 | 5日 |
11月 | 20/14 | 7日 |
12月 | 17/11 | 8日 |
ベストシーズンは?

マルタ共和国のベストシーズンは6月~9月までの夏の時期。
特に、7月8月がピーク。毎年、街中は観光客でごった返しています。
「強い日差し」「綺麗な海」と南国の島を彷彿とさせます。
マルタ共和国の物価情報(2023年)
物価に関しては、おおよその方は「日本とマルタを比較」して、どちらが高いか安いかで判断するかと思われます。
結論から言うと、日本とマルタの物価はほぼ同じ。ただし、その時のユーロ/円相場にかなり左右されます。
ユーロに対し、円高のときはマルタ共和国の物価が安く感じ、円安のときはマルタ共和国の物価が高く感じます。
2022年1月20日時点での1ユーロは128.9円でしたが、2023年1月20日時点での1ユーロは140.5円と、たったの1年間で11.6円もの差が生じています。
もっと言えば、2020年は1ユーロ/120円すら下回り、1ユーロ/115円などの時期もありました。
ちなみに、同じユーロ通貨を使用しているヨーロッパの中では、その他の欧州先進国などと比較すると、マルタ共和国の物価は安い部類に入ります。
日本との比較に関しては、その時々の為替相場次第でマルタ共和国の物価が高いと感じるか安いと感じるか異なるため、一概には言えません。
ちなみに、世界3大通貨は「アメリカドル、ユーロ、日本円」と言われ、ユーロ・円とも世界トップクラスの評価を得ています。
しかしながら、少子高齢化などに起因した日本の経済力の凋落により、近年は日本円よりヨーロッパ27ヵ国で使用されているユーロ通貨の方が強い傾向にあります。
今後も「円安ユーロ高」の傾向が続くようだと、旅行費用や留学滞在費用など少し多めに見積もる必要があるでしょう。
以下には、2022年の「ユーロ対日本円」平均相場から概算し、1ユーロ±15円程度の変動があったとしても、おおよそ変わることのないものを紹介しています。
日本より高いもの
マルタ共和国において、日本よりも割高だなと感じるものは以下の3つです。
- アパートメントの賃貸料(東京23区と同程度)
- 水道光熱費
- 外食費
アパートメントの賃貸料

アパートメントを借りる際の賃料は、東京23区とおおよそ同程度。
東京23区の人口は約970万人(約500万世帯)で、残りの約1億2,000万人が23区外に住んでいることを考えると、ほとんどの日本人にはマルタの物件は割高に感じると思います。
また、費用対効果の面を考えても、日本の物件の方がクオリティが高い傾向にあると感じます。
他のヨーロッパ先進国と比較しても、パリやロンドン、デュッセルドルフ、チューリッヒ、アムステルダムなどの一部地域を除き、高額な印象を受けます。
マルタ共和国の賃貸料が高いのは以下の理由からです。
- ミニ国家であるため、土地が少ないうえに人口密度が高い
- 観光立国であるため、一等地には巨大なホテルなど観光施設がたくさんある
- 電車やトラムがないなど公共交通機関が整備されていないため郊外に住みづらく、居住地が一部地域に密集している
※関連記事:マルタ共和国で家を借りるコツを伝授!家賃相場から注意点まで、実体験をもとに紹介
水道光熱費
マルタ共和国は川や湖が存在せず、水道水はすべて海水を濾過したものを使用しています。
そのため、日本よりも水道代は割高です。
日本の感覚で毎日のように湯船にお湯をためて浸かったりすると、途轍もない額の請求がくることになるので気を付けましょう。
また、マルタ共和国の水道水は直接飲んでも大きな問題を引き起こすことはないと言われていますが、正直に言うとひどくマズく、臭いです。
マルタ在住の日本人で、水道水を直接がぶ飲みしているという話を聞いたことはなく、「飲み水の購入費」などを考慮すると、余計に割高に感じます。
加えて、マルタ共和国はほぼ全てのエネルギーを輸入に頼っています。
発電所が多くある日本と同じ感覚で電気を使用していると、これまた途轍もない額の請求がくることとなるので、気を付けましょう。
外食費
外食費は日本よりも、マルタ共和国の方が格段に高いです。
日本人がもっともギャップを感じるのが、この外食費だと言えるでしょう。
マルタ共和国には日本のような「大衆居酒屋」「牛丼チェーン」「ラーメン屋」「ファミリーレストラン」のようなリーズナブルな価格設定のお店はほぼありません。
しっかりとしたレストランや、お洒落なバーばかりです。
ハンバーガー屋や、ピザ屋、ケバブ屋はあるものの、日本の1.5倍くらいの値が張ります。
とはいえ、そんなマルタ共和国の外食費もヨーロッパ先進国に比べると、妥当と言える価格設定。
欧米諸国への旅行を経験したことのある人からすれば、驚くほどのものでもありません。
日本の外食産業は世界一のレッドオーシャンと言われるほど競争が激しく、料理のクオリティに対して異様なほど低い価格設定がなされています。
グローバルワイドな視点で見れば、むしろ日本の外食費が異常なまでに安く、マルタ共和国の価格設定の方が妥当という捉え方もできるかもしれません。
日本では飲食店がブラック企業の代名詞として語られることが多いですが、従業員の賃上げやワークライフバランスを大切にするマルタをはじめとした欧米諸国では、外食費が高騰してしまうのは仕方のないことでしょう。
日本より安いもの
マルタ共和国で生活するうえで、日本より割安だなと感じるのが以下の4つです。
- 日用品
- 交通費
- アルコール類
- 通信費
日用品
マルタ共和国にはドイツのディスカウント・スーパーマーケットである「Lidl(リドル)」が多数、進出しており、日用品を格安で揃えることができます。
交通費
マルタ共和国の公共交通機関はバスとフェリーしかありませんが、格安で利用できます。
また、マルタ共和国では日本で禁止されているライドシェアが利用できます。
(※日本は有償ライドシェアが道路運送法で規制)
Uberこそ利用できませんが、「Bolt」や「eCabs」などが使用できるため、移動コストを抑えることができます。
アルコール類

マルタ共和国では日本に比べてビールやワインをはじめとしたアルコール類を格安で購入することができます。
マルタ共和国の有名なローカルビール「Cisk(チスク)」が有名。ビール好きの方はぜひチャレンジしてみてください。
(※マルタ共和国の法律では17歳から飲酒可能)
通信費
マルタ共和国の通信費は、「SIMカード」と「WiFi」料金ともに日本より安いです。
会社や契約内容にもよりますが、1ヶ月あたりのSIMカード利用料はおおよそ1,000円~1,500円程度。WiFiはおおよそ3,000円~3,500円程度です。
日本やヨーロッパ先進国に比べると、通信速度は遅い傾向にありますが、ストレスを感じるほどのものではありません。
ちなみに、マルタ共和国からだと、一部の日本のWebサービスを利用できませんが、VPNを使用すれば解決します。
関連記事:【最新版】マルタ共和国で使えるオススメVPNランキングTop5
マルタ共和国の治安|ヨーロッパ随一の安全な国
マルタ共和国はヨーロッパでトップレベルに治安の良い、安全な国です。
東京や神奈川、大阪、兵庫などの一部の地域で生活したことのある人からすれば、下手したら日本以上に安全に感じるかもしれません。
しかしながら、スポットで見ると油断できない地域もあります。
関連記事:マルタ共和国の治安ってどうなの?在住経験とデータをもとに解説
注意が必要な地域①:パーチャビル

パーチャビルはマルタ共和国内におけるクラブ密集地帯で、留学生から観光客まで世界各国のパーティーピーポーが集まる場所です。
ヨーロッパの歓楽街の中では、かなり安全な部類に入ります(体感的には、深夜の六本木や渋谷、新宿の繁華街より格段に安全に感じます)。
しかしながら、酔っぱらって羽目を外しすぎると「スリ」や「喧嘩」などの軽犯罪に巻き込まれる可能性があるので油断禁物です。
また、パーチャビルで人種差別被害にあった日本人の方の話を聞いたこともあります。
筆者もパーチャビルは好きな場所の1つですが、遊ぶ際には自己責任でお願いします。
関連記事:【マルタ共和国】日本人に対する人種差別はあるのか?口コミや実体験をもとに紹介
注意が必要な地域②:アルバートタウン
マルタ共和国でもっとも危険なエリアが、アルバートタウンだと言われています。
正直なところ、ほとんどの日本人は訪れる必要性のない地域で、かく言う私も行ったことがありません。
工場地帯の一角に位置し、ドラッグの売買や売春行為が行われているようで、とにかく近づかない方が賢明です。
マルタ共和国はキャッシュレス先進国?
マルタ共和国はキャッシュレス化が日本に比べてかなり進んでおり、現金を使う機会がめったにありません。
マルタ共和国では「Revolut(レボリュート)」や「Wise(ワイズ)」といったオンラインバンクが非常に人気。
マルタ企業からお給料をもらう、友人やパートナーと割り勘をする、大家に家賃を支払うなどの送金もアプリから簡単に実行できます。
無料で口座開設できるので、マルタ渡航前に手続きしておくことをオススメします。
関連記事:【移住者必見】マルタ渡航時に持っておきたいカード&口座【無料で開設可】
マルタ共和国の観光スポット
バレッタ

マルタ共和国の首都であるバレッタ。市街全体が世界遺産に登録されています。
バレッタは三方が海に囲まれた面積0.6㎢と市域が狭く、人口は6,000人以下とごくわずか。
しかしながら、その美しい景観と、豊かな歴史が人々を惹きつけます。
セント・ジュリアン

セント・ジュリアンはマルタ島における中心地的な役割を果たしており、レストランやバー、クラブ、ホテルなどが立ち並んでいます。
前述したクラブ街「パーチャビル」もセント・ジュリアンにあります。
外資系企業のオフィスも数多く構えており、マルタで現地就職する際には頻繁に訪れることとなるでしょう。
ゴゾ島

ゴゾ島はマルタ島の北西にある67㎢の島。
美しいビーチと静かな環境をもとめ、観光客のみならずマルタ人からも人気の観光スポット。
1551年にオスマン帝国に攻め込まれた際には、島民5,000人~6,000人がリビアに連れ去られるという悲しい過去があります。
マルタ人ってどんな人?性格や身長など

マルタ共和国は地中海に浮かぶ島国だけあり、陽気でノリの良い人が多い印象。
フレンドリーで親切な人が多く、困っていたら手を差し伸べてくれるような人が多いです。
その反面、気が短い人も多く、特に車の運転時に性格が豹変するイメージがあります。
マルタ共和国に長期間滞在していると、ヒューマンエラーによるケアレスミスなど散見されますが、ほとんどの人は細かいことは気にしません。
マルタ共和国には良くも悪くも大雑把な人が多く、「日本社会は息が詰まる」と感じている人には心地よく感じるかもしれません。
マルタ人の身長|日本人とほぼ同じ
国籍・性別 | 平均身長 |
---|---|
マルタ人 男性 | 169.9センチ ※世界47位 |
日本人 男性 | 171.5センチ ※世界35位 |
マルタ人 女性 | 159.9センチ ※世界43位 |
日本人 女性 | 157.9センチ ※世界58位 |
男性は日本人の方が1.6センチ高く、女性はマルタ人の方が2センチ高いことが分かりました。
男女とも、そこまで大きな差はなく、世界的に見ても平均的なサイズと言えるでしょう。
マルタ人はヨーロッパの中では、小さい部類に入ります。
マルタ共和国のスポーツ

マルタ共和国でダントツの人気を誇るスポーツがサッカーです。
人口約50万人ほどの小国であるため、国際大会での実績等はありませんが、熱狂的なサッカーファンが多くいます。
バーなどに行くと、大型テレビジョンでヨーロッパの強豪クラブの試合が生中継されていることも多く、サッカーファンは楽しめること間違いなし!
マルタ共和国の歴史(略史)
- 紀元前5,000~6,000年頃:人類がマルタ島に入植。
- 紀元前800年頃:フェニキア人(現在のシリアやレバノンにあたる地域の人々)が入植し、マルタ語の起源となる言語・アラビア語が持ち込まれる。その後、約500年ほどマルタを統治。
- 紀元前218年:ローマ帝国の支配下に入り、キリスト教が伝来する。
- 870年:アッバース朝支配下の「アグラブ朝」によって占領され、再びイスラム教国の支配下に入る。
- 1000~1100年:大量のアラブ人が入植し、人口が大幅に増加する。
- 1090年:北欧バイキングを起源とするノルマン人がマルタ島を解放。売りに出され、統治者が変遷する。
- 1530年:マルタ島が聖ヨハネ騎士団に譲渡される。
- 1798年:将軍・ナポレオンによりフランス軍に占拠される。しかし、数か月後、マルタ人の反乱組織がフランス軍を包囲。イギリス軍やポルトガル軍の支援のもと、フランス軍を一掃する。
- 1813年:イギリスの直轄植民地になる。
- 1964年:イギリスから独立を果たす。
- 2004年:EUに加盟。
日本とマルタ共和国との関係

日本とマルタ共和国の政治関係
第一次世界大戦時、イギリスの要請を受け日本海軍が艦隊を派遣。日本海軍は「地中海の守り神」と呼ばれ、日本人戦没者71名の慰霊碑が建てられました。
1965年に日本とマルタは国交を樹立。
それ以降は良好な関係を築いてきました。
日本とマルタ共和国の経済関係
スキーム | 金額 |
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日本からマルタへの輸出 (船舶類、自動車など) | 141億円 (2019年、財務省統計) |
マルタから日本への輸出 (マグロなどの魚介類、電気回路等の機器など) | 241億円 (2019年、財務省統計) |
日本からマルタへの直接投資 | 1,453千ドル (1951~1986年度累計、外務省) |
日本はマルタ共和国に対し、2002年までに技術協力の名目で、399億円のODA(政府開発援助)を行いました。※出典:ODA国別データブック2015
日本とマルタ共和国の人的交流
2021年時点で、マルタ在留邦人は360人。在日マルタ人は22人となります。
近年の両国における要人の交流は、以下の通りです。
- 2017年5月:安倍晋三 元総理大臣がマルタ共和国訪問
- 2018年7月:ムスカット 首相が日本訪問
- 2019年10月:ヴェッラ 大統領が日本訪問
まとめ
以上、マルタ共和国の概要について幅広く紹介いたしました。
上述のとおり、「公用語が英語」「過ごしやすい気候」「ヨーロッパ最高レベルの治安の良さ」などを鑑みると、非常に留学に向いている国だと言えるでしょう。
かつてマルタ共和国に在住していたGACKTさんが、YouTubeで面白おかしくマルタについて紹介している動画があるので、興味のある方はこちらもチェックしてみてください!
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